干しひじきは鉄鍋かステンレスかで鉄分は10倍変わる?
「日本食品標準成分表2015年版(七訂)」が文部科学省より公表されました。
「日本食品標準成分表」は、健康維持する上で、栄養指導や食事療法などを行う上で、日本で常用される食品の栄標準的な養値を可食部100gあたりで示したものです。
今回は、収載食品が300増えています。日本の伝統食を代表する刺身や天ぷら、また健康志向を反映して、発芽玄米や後刻、あまに油などが加わっていますし、アレルギーに配慮して玄米粉や米粉パン、米粉麺に、唐揚げ、トンカツなどの調理済み食品も加わりました。
詳しくは、「日本食品標準成分表の改定について」お読みください。
http://www.mext.go.jp/a_menu/syokuhinseibun/__icsFiles/afieldfile/2015/12/10/1362535_1.pdf
少し話題になってるいるのが、「干しひじき」です。
「干しひじき」は、鉄分が豊富なことで知られています。この干しひじきは、原藻を蒸し煮して乾燥させたものですが、加熱時間が長く煮熱用の釜が鉄かステンレスかで、成分が大きく異なるため、両方の製造方法で鉄分を分析されています。
鉄釜の製品では干しひじき100グラム当たり鉄分が58.2ミリグラム、ステンレス釜では同6.2ミリグラムと、約10倍も異なりました。
昔の人が、鉄鍋で料理すると鉄が補ると経験的に伝えていましたが、こういう分析が公となることは少なく、大変興味深いですね。成分表はあくまで目安ですが、10倍ことなるということはやはり影響が大きいということです。今後は、「鉄鍋製」ということがキャッチフレーズとなる表示も出てくるでしょう。
ひじきに関しては10倍ですが、他の食品ではどうなのか・・・・。
また、例えば調理による影響というのは関連性があり、加熱調理することで植物の細胞壁を壊して吸収を促す、あるいはポリフェノールの中にはミネラルをキレートして吸収を阻害するものもある、と考えられています。
たくさん摂取していると思っていても、実際にはそうでもなかった、ということもあるかもしれません。こうした調理や取り合わせの影響も、今後明らかにってくると思います。
日本食品標準成分表は、あくまで標準ですから、あなたの今目の前の食品がそのまま同じ栄養価であるとは限りません。どれくらい取れているか、バランスはどうなのか、ということの目安にするということです。数字にばかりとらわれて、何か不足しているのではないかと、安易に健康食品などに頼るのは、またリスクがあります。多様なものをほどほどにいただく。ことが健康のための基本的な食事だと思います。