「清澄の里 粟」伝統野菜の復興から地域と人を健やかに
旅をして、どこに行っても、同じコンビニ、同じカフェがあると、便利ではあるけれど、なんとなくつまらない。全国どこものっぺりと同じ顔。
贅沢ではなくても、その土地ならではのものが楽しめたらいいのになって、ことをよく感じます。
奈良市の中山間地地域にある「清澄の里 粟」。お世辞にも交通の便が良いとは言えないところなのですが、全国からお客様がやってくる農家レストラン。2012年のミシュランでも1つ星をゲットしています。
1つのコースで、58種類もの大和伝統野菜を楽しむことができるお料理。でも魅力は美味しいお料理だけではありません。
オーナーのご夫妻は、福祉現場で働いて来られた経験から、人々が人生を充実させるためには、どんな暮らし方があるのかを探求してきました。
そしてその地域の伝統野菜を復興することにより、地域や農業の活性化、そこに暮らす人々も生き生き生かされるのでは、と考え、伝統野菜を核に文化や農業のあり方、地方創生の知恵を発信する拠点にしています。
全国でもさきがけのモデルケースとして注目される「清澄の里 粟」さん。
詳しくは、ぜひオールアバウトの記事をお読みください。
日本食の健康効果を科学的に評価する試み
以前、取材させていただいた大阪の産官学で取り組む「抗疲労食」プロジェクト。
大阪は、「抗疲労」については世界でも先進的な取り組みをしています。さらに京都大学や日本食アカデミーとタッグを組んで、日本食の健康への効果を科学的に評価する試みが展開されています。
私が、洋の東西をとわず、様々な健康食をぐるぐる見まわしてきて思うことは、一つの情報を盲目的にではなく、いろいろな面から見ることが大切だと思います。
栄養バランスのとりやすいことなどで健康的というイメージが強い日本食ですが、先人の食の知恵が、健康に役立つということが、経験的にというだけでなく、科学的にも裏付けがあるかどうかを検証してみることも、振り回されず自分で判断する一つの目安になると思います。
誰もが、自分のこととして備えたい
熊本県を中心とした九州地方の地震により、亡くなられた方々のご冥福をお祈りします。また被害に遭われた皆様には、お見舞い申し上げます。
このような大きな震災が起こるたび、阪神淡路大震災を思い起こします。ほんの数秒の揺れが、長く長く終わることのないように感じられました。ライフラインが寸断された不安は大きく、また子供が小さかったため、安全な実家に身を寄せましたが、数ヶ月経ってから夜中になると目が冴えて足がガタガタ震えて、眠れないようになった経験もあります。
余震が続き、またその後の生活についても、災害地の皆さんはご不安でしょうし、ご家族やご親戚、お知り合いがおられる方々もご心配が尽きないと思います。今は、被害が大きくならないことをただただ祈るしかできません。
地震だけに限らず様々な災害には、万全ということはありません。いくら備えても、状況によっては活用できないこともありますが、何かしらできることは備えておきましょう。
災害時の食と健康について記事を書いております。改めて読んでみていただければと思います。
日本人の腸内細菌叢は、平均寿命や低い肥満率に関連かも
webニュースで見ていてふと目に止まり、早稲田大学のサイトで確認しました。
早稲田大学理工学術院先進理工学研究科(服部正平教授)と、東京大学大学院新領域創成科学研究科の(西嶋傑博士課程学生ら)を中心とする共同研究グループは、106名の日本人を含めた12カ国のヒト腸内細菌叢データの比較解析を行い、腸内細菌叢の菌種組成が国ごとで大きく異なることや日本人の腸内細菌叢の特徴を明らかにしました。
日本人データと欧・米・中国等の外国11カ国データとの比較解析から、日本人腸内細菌叢は、
②炭水化物やアミノ酸代謝の機能が豊富である一方で、細胞運動性や複製・修復機能が少ない、
③他の11カ国ではおもにメタン生成に消費される水素が日本人ではおもに酢酸生成に消費される等の違いや特徴が明らかとなった
④海苔やワカメ(の多糖類)を分解する酵素遺伝子が、約90%の日本人に保有されるのに対して、他の11カ国では〜15%となり、本酵素が日本人集団に特徴的に広く分布している。
そして、以上のような日本人腸内細菌叢の特徴には、生体に有益な機能が外国よりも多く含まれ、その総合的な有益性は日本人の世界一の平均寿命や低い肥満率等と関連することが示唆されました。(本研究成果は、科学雑誌『DNA Research』(3月6日online版)に掲載されました。)
詳しい内容は、
健康な日本人の腸内細菌叢の特徴解明、約500万の遺伝子を発見 平均寿命の高さや低肥満率等との関連も示唆 – 早稲田大学
を御覧ください。
ガイドは、ここにある海苔などのか移送を消化する酵素が日本人に多いこと、また大豆のイソフラボンから代謝されたエクオールを分解する酵素が多いことも取り上げました。詳しくは下のリンクからお読みください。
最近は、健康のために、「何を食べるか」とか、「魔法のような効き目のある食べ物」などを求めすぎる傾向があると思うのですが、口に入れても、足し算のように効果があるとは限らない。摂取した後、消化・吸収・代謝などはどうなっているのか、ということも大切だということですね。
このように長い食習慣によって、国や民族が異なれば腸内細菌叢も異なるとなると、海外の人にとっては良い食べ方でも、日本人にとってはわからない。またその逆もあり得るのでしょう。
例えば、長年にわたりカロリーの約半分をご飯などの炭水化物で摂取を食べていたとはいえ、極端に炭水化物をとらなくなると、日本人ならではのメリットの多い腸内細菌叢も変化していくこともあるのでしょうね。
腸内環境の事は、心身の健康について幅広くかかわっていることが明らかになりつつあるので、今後ますます注目したい研究です。
毎月31日は、「菜の日」
厚生労働省の国民健康・栄養調査によると、2014年の国民一人当たりの野菜摂取量は、1日平均292g。目標量の1日350gよりは少ない、というのは毎年のように言われていることです。
まぁ、こういう平均量は、極端に数字に引っ張られるので、しっかり食べている人はいるし、極端に食べていない人もいるので、自分はどうかということを考えていただきたいのですが・・・・。
一般社団法人ファイブ・ア・デイ協会の調べで、1日350g以上の野菜を食べている人は全体の7%にとどまり、54%は目標量そのものを知らないという結果が発表されました。
すでに8月31日は、「野菜の日」となっているのですが、同協会はもっと野菜摂取を呼びかけるため毎月31日を「菜の日」として、様々なメーカー・流通各社と連携して、意識付けのための活動をしていくようです。
この「1日350g以上」というのは、適当に決められたわけではありません。様々な調査から生活習慣病予防をするためには、カリウムやカルシウム、抗酸化ビタミン、食物繊維などを摂取するには、野菜をどれくらいの量食べていると有効なのかを見極めて設定されています。
私も、毎日完璧ではありませんが、とにかく「あと一皿野菜を」と心がけています。
アクリルアミド・・・ポテトチップスだけが悪者じゃなかった
2002年スウェーデン国立食品局(NFA)の研究報告によって、ごく一般的な食品や家庭料理も含まれている「アクリルアミド」という成分に発がん性があることが指摘されました。
その報告では、高温で調理された炭水化物を多く含む食品に高濃度で検出されたとしており、特にフライドポテトやポテトチップスなどの検出率が高く、食品業界に大きな波紋を投げかけ、ジャンクフードなどのイメージと重なって、しばらくポテトチップスなどが悪者になっていました。
世界中でアクリルアミドに対する関心が高まり、日本でも2011年に食品安全委員会おいて、「加熱時に生じるアクリルアミド」についての健康影響評価を行うことが発表され、2016年2月に食品安全委員会ワーキンググループにおいて健康への影響評価(案)が取りまとめられています。
その評価では、世界から敵視されたフライドポテトやポテトチップスは、実は日本人の場合は推定摂取量が意外に少ないのではないかとみられています。
詳しくは、下記の記事でまとめていますが、言いたいことは、特にこの食品や料理が悪いとか、不安を煽りたいわけではありません。
偏った食べ物や食べ方をするよりも、様々な食品を様々な調理法で食べることの方が、バランスよく食べられるというだけでなく、リスクを低くできることにつながるのではないか、ということです。